印刷で価値ある文化を創造する

鹿児島印刷の歴史と文化

世界最古の印刷物活版印刷は、羅針盤や火薬とならび、ルネサンス期での世界の三大発明と称されています。
しかし、実は活版印刷の歴史は非常に古く、約1,240年前に作られたとされる世界最古の印刷物「百万塔陀羅尼経(ひゃくまんとうだらにきょう)」や、550年前のグーテンベルクによる「42行聖書」などが知られています。
三大発明の中でも、特に印刷は、私たちの生活文化向上に大きく貢献しながら発展してきました。
世界最古の印刷物「百万塔陀羅尼経」

日本一早い薩摩の金属活字

木村嘉平の鋳造活字日本の印刷発達史で、近代活版印刷術の創始者は本木昌造です。
長崎製鉄所頭取であった本木昌造は明治2(1869)年、上海の活版技師ウイリアム・ガンブルを長崎に招き、電気分解法による母型製作や活字鋳造の指導を受けました。そして翌明治3(1870)年、長崎に新町活版製造所を創設し、日本初の活版印刷の企業化を図りました。現在の印刷産業の発展を考えれば、本木の努力や貢献は特筆すべきものといえるでしょう。
時を同じくして、薩摩藩の島津斉彬公は、江戸の版木職人であった木村嘉平に命じて、鉛製鋳造活字一式を作らせていました。藩士の教育のため、教科書を印刷するのが活字製造のねらいでした。嘉平が独力で金属活字の鋳造を完了したのが、元治元(1864)年。本木活字完成の、実に6年も前でした。
薩摩藩出版事業についての詳しいことは、尚古集成館提供のページでご覧ください。
木村嘉平の金属活字は、安政5(1858)年の斉彬公逝去により実用化には至りませんでしたが、日本初の金属活字がここ鹿児島において完成していたことは、今日の地元印刷業界にとっての大きな誇りです。嘉平の偉業は、平成10年に「木村嘉平関係資料」として国の重要文化財に指定されています。
木村嘉平の鋳造活字

かごしま印刷史「かごしま印刷史」の発刊

鹿児島県印刷工業組合は創立40周年を記念し、組合員の浄財を集めて『かごしま印刷史』(高柳毅著)を刊行しました。
この本は、業界団体史の枠を超え、560年に及ぶ薩摩の印刷史としての広範な視野が
評価され、「地域社会の発展と地方文化の向上に尽くした図書」に贈られる「南日本出版文化賞」受賞の栄に輝きました。